ぶーちゃんに会いたい | 不育症を乗り越えた夫婦の記録

3度の流産を乗り越え、赤ちゃんの成長を見守る夫婦の記録である

こうして不育症治療が始まった(妻サイド)

自分が不育症なのではないかと疑ったのは、2回目の流産の後だった。

産科では、「偶然続いただけ。次は大丈夫ですよ」と言われたが、本当にそうだろうか。
このままでは、また流産するのではないか。なんとなく、悪い予感がした。

調べると、流産を繰り返す「不育症」という言葉を初めて知った。病院では一度も聞かされていない。
後に、この産科は不育症の治療に対しても否定的であることがわかった。全国の多くの産科が同じようなものだろう。「おかしい」と思っても、自ら調べなくては治療にたどり着けないのが現状だ。

そして、不育症の検査について、新横浜にある「杉ウイメンズクリニック」が有名だと知った。
検査には10万円ほどかかる。受けたいけど高い。
迷っていたら、東京都では「以上の流産及び死産若しくは早期新生児死亡の既往があること又は医師に不育症と判断されたこと」などを条件に、5万円の助成金を受けられることがわかった。
https://www.fukushihoken.metro.tokyo.lg.jp/kodomo/kosodate/josei/fuikushoukensa/gaiyou.html
5万円は大きい。この助成金を利用して、検査を受けることを決めた。


コロナ禍で身動きが取れない毎日であったが、そのおかげで杉WCの予約はすぐに取れた。これまで全国から来ていた患者が来られなくなったのだろう。運が良かったとも思うが、地方に住む人達のもどかしさを思うとやりきれなくなった。

2回目の流産から1カ月半後、夫と一緒に杉WCに向かった。

夫婦で来ている患者は、ほかにもいた。予約制なので、待合室に人は少ない。プライバシー保護はもちろん、感染防止という面でも安心だ。

血液検査と内診を受けて、この日は終了。
3週間後、検査結果を聞きに行くと、「血液が固まりやすく、赤ちゃんに栄養が届かない可能性がある」としてバイアスピリンを飲むことになった。
妊活再開後は、排卵日のセックスから約1週間後に飲み始め、生理が来たらストップ。妊娠したら飲み続けると説明を受けた。薬が切れたら、産科で処方してもらうか、処方してもらえない場合は杉WCで薬だけ出してもらうことができるとのこと。

また、甲状腺の数値が悪かった。「橋本病予備軍」と診断され、甲状腺の病院にもかかることになった。
甲状腺ホルモンが少ないと流産の原因になるなんて、考えたこともなかったことだ。

「2回続けて流産してしまい、もう疲れたなっていう気持ちもあるんです」と正直に話したところ、先生は理解を示してくれた。その上で、「そうはいっても次の妊娠は早いほうがいい。甲状腺の治療もすることを考えたら、効果が出るのは2カ月ほど先になる。そのころにはまた落ち着いて、再開できるのでは」と励ましてくれた。

今は流産したばかりで、気持ちが前向きになれないけど、
2カ月後にはまた頑張れるかもしれない。そう思えた。


甲状腺の病院について聞くと、表参道の「伊藤病院」が有名とのことだった。
しかし、日本屈指の甲状腺専門医院である伊藤病院は待ち時間が数時間に及ぶらしい。
それでは働きながら通うことができない。

さあ、どうするか……。

さらに調べると、伊藤病院に16年勤めていた先生が秋葉原で開業した「しぶや甲状腺クリニック」は、完全予約制だとわかった。

これなら通える。
早速、予約をとった。

1回目の流産後は、漢方を飲んでみたり、鍼治療を受けてみたりしてみた。
効果があるかわからず、ただの気休めのようにも感じていた。

2回の流産で検査を受けたことで、具体的な治療方針が固まり、一歩前に進めた気がした。
きっと、夫も同じ気持ちだったと思う。

こうして、私の不育症治療は始まった。